〜サン=テグジュペリ作「星の王子さま」より〜
2017年7月8日(土)~9日(日)
大阪市立芸術創造館
《ものがたり》
ある飛行士が砂漠に不時着した。
誰もいないはずの砂漠で彼は、不思議な少年と出逢う。
少年はある星からやってきたのだと言う。大切な『花』を残して…
生死の境を彷徨いながら、夢を現実の狭間で、飛行士は少年といっしょに旅をし、さまざまな出逢いをする。
星の住人たち、猛毒を持ったヘビ、儚く散った黄色い花、そして無二の親友キツネ…
そんな中で、飛行士は今まで逃げてきた自分自身と向き合うーー死んでしまった弟、友人、周りから理解されない孤独、すれ違ってばかりの恋人ーー
――大切なものは目には見えないーー
飛行士は、もう一度空を飛ぶ決意をする。
少年はヘビに咬まれ、自分の星へ帰っていく。「悲しいときは空を見上げて」
悲しみに沈む飛行士は少年の残した言葉を思い出して空を見上げる。
満点の星空。少年の明るい笑い声が降ってくる。
自分を取り戻した飛行士は、恋人の待つ自分の世界へと帰っていく。
その表情は希望に満ち、しっかりと前を見つめていた。
《ごあいさつにかえて》(できれば観終わってから読んでください)
(当日パンフレットより)
本日はお忙しい中、演劇集団☆邂逅の公演にお越しくださいましてありがとうございます。
原稿の締め切りはとっくに過ぎて、入稿のデッドラインギリギリ、なのに考えがまとまらず、もう、あいさつなんか載せずにいっちゃおうか、なんてヤケッパチになり…それくらい、この作品には「想い」がありずぎて……結局諦めて、このままの気持ちで書くことにしました。しばらくお付き合いください。
この作品の初演はまだ私たちが「劇団」として世に出る前、大学のホールでの公演になります。その頃頭ん中は100%芝居のことだけ、当たり前のように毎日集まり(今みたいに出欠をとる必要もなく)稽古三昧。その時いっしょにがんばったメンバーは今でも役者、スタッフとして支えてくれていますが、そのメンバーの中で何年か前ひと足先にお星さまになった人がいます。彼女は優秀な音響で小道具。彼女が持ってきてくれた音響は今回も使っていますし、小道具の中にも残っているものがあります。彼女なしにはこの作品は語れません。彼女もきっと再演を楽しみにしてくれていると思います。誰よりも邂逅とこの作品を愛していましたから。その後演劇フェスティバルに参加して初めて外に出たのもこの作品でした。そして、今回、学内の公演を合わせると5回目の再演になります。「いくつになってもわからないことばかり」という飛行士の言葉がほんの少し実感できるようになった今日この頃。今の私たちにしかできない、今だからできるものを作りたいと演出を大きく変えての挑戦となりました。実は去年から「来年は『星空〜』をやりたい」と思っていまして、「王子役の子が見つかったらやろう」と密かに決めていました。そして幸運にも候補者が何人か現れ(神様ありがとう‼︎)長いオーディションの結果、新しい『星空〜』に相応しい3代目王子が選ばれました。新しい演出に果敢に挑戦している中村飛行士と選ばれし河野王子(お星さまになった彼女と偶然にも同じ名字というのも不思議な巡り合わせです)のコンビ。さあ、ここからは私たちががんばるところ。気持ちをひとつにお客さまに観ていただくだけです。1週間後の未来、この作品はどうなっているでしょうか? 皆さまのお声をぜひぜひお聞きしたいと思っています。アンケートにひと言書いて帰ってください。(お時間ない方はメールでも!)感想でなくても構いません。何かメッセージを。お願いします。
今日来てくださった皆さまはもう、「友だち」ですから、何か悲しいことがあったときは空を見上げてみてください。(昼間でもそこに星はあります)きっと王子さまの笑い声が聞こえてきます。そして、「もうすこしがんばろう」って思っていただけたら……こんなに嬉しいことはありません。
ああ、まだまだ…想いが溢れて溢れて…でもこのくらいにしておきます。最後までお付き合いくださってありがとうございました。あとは、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
今までいっしょに戦ってきた数多くの戦友たち、スタッフの皆さま、そしてこうして足を運んでくださる皆さまに、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。本当に本当にありがとうございました。
演劇集団☆邂逅 代表 小林桃子