2016年6月18日(土)~19日(日)
大阪市立芸術創造館
《ものがたり》
時は平安時代。都の外れの年中桜の散らない不思議な森に。為平と言う名の皇子がいた。彼は妖術を使い、物の怪達だけを相手にひっそりと暮らしていた。実は彼は、現帝(村上帝)と龍神との間に生まれた皇子だった。
そこに、都から藤原道長が偵察にやってくる。村上帝の具合が悪く、為平の兄皇子が帝になれば、次の東宮(次期帝)候補は為平だと言う。
為平には、まだ都で幸せに暮らしていた少年時代に一緒に過ごした弟、守平がいた。
自分の存在が守平の命を脅かしていると知った為平は、国のため、弟のため、都人の恐怖の対象となり、それらを救う決意する。
すべてが終わり、瀕死の重症を負った為平は、桜の森に帰ってきた。
「私はずっと、人を不幸にするために生まれてきたのだと思っていた…」為平の表情は明るい。
物の怪達の幻も、彼には見えない。ただ桜が舞い散る中、為平は静かに目を閉じるのだった…
《ごあいさつ》(当日パンフレットより)
本日はお忙しい中、演劇集団☆邂逅の公演にお越しくださいまして誠にありがとうございます。
今年、大阪春の演劇まつりは40回目。40年続いた歴史ある演劇祭に参加させていただくことを、大変嬉しく思っています。そして私たち演劇集団☆邂逅は今年の秋、劇団として10年の節目を迎えます。演劇祭に参加されている他の劇団さんに比べればまだまだヒヨッコです。けれども、なんとかここまで続けてこられたのは、公演に足を運んでくださるお客様をはじめ、お力添えいただいた皆様のお陰です。本当に本当にありがとうございます。がむしゃらに走り続けてきた10年。この辺りで錨を下ろし、また新たな旅に向かって船出したいと思っています。叱咤激励やご要望などなど、何か一言で構いませんので、アンケート用紙にメッセージをいただけると大変嬉しいです。是非ともお願いいたします。
さて、今回ご覧いただく『花の皇子~花霞奇譚~』。作家さんとの打ち合わせの際、候補作の中にひとつだけ、「都の外れに住む不思議な皇子さまのお話」という設定のみの作品がありました。他の魅力的に思える作品と比べて、あらすじも登場人物も全くわからない、真っ白で掴み所のない状態。「私が今、書きたいと思っているものではなく、今の邂逅さんにぴったりハマるものをゼロから考えます」その和泉さんのお言葉に、「きっと10年間の集大成に相応しい作品になるに違いない」と秘かに確信し、是非にとお願いしました。確信は正解でした。あとは役者の頑張り次第! その結果は……これから一緒に体感していただきたいと思います。
本日はご来場、誠にありがとうございました。今後とも演劇集団☆邂逅をどうぞよろしくお願いいたします。
演劇集団☆邂逅 代表 小林桃子